泣きたい夜に泣いてしまった話

何をしているんだろう。

そう思って、私は私を傷付けていることに気が付き、息を吐けなくなった。

泣いてしまいたいと思った。

愛が消え、寂しく、苦しく、私は少しづつ小さくなっていった。

 

私は人前でしか強くなれない。

けれど、強い私が好きだから、私は一人の私を傷付ける。

弱っている私に追い打ちをかける。

 

愛と共に歩んでいきたかった。

これからの愛の形を知りたかった。

 

睡眠導入のBGMを流しても眠れない。

睡眠薬を飲んでいるのに冴えている頭。

 

やっぱり私は、まだ、大丈夫じゃないんだ。

 

また無理をするのか。

意外と上手くいくのか。

 

助けてくれなかった人達。

助けようとしてくれた人達。

 

いつも思い浮かぶのは、してくれなかった人達。

 

いつでも何か小さな幸せを見つける度に連絡していたこと。

嫌なことがあっても次会う予定を楽しみに乗り切っていたこと。

言葉が透き通っていて、大好きだった。

 

この世界は、あまりにも私にとって辛い。

 

思い出さないようにして、蓋をして。

ふと、その蓋が外れて私は泣いてしまった。

愛が消えてから

愛がこぼれ落ち、灰となって5ヶ月。

その間に書いていたもの。

 

〈3ヶ月、ご飯を炊けていないはなし〉2023/06

2ヶ月ぶりに帰省した。

祖父の一回忌だった。

父の日に被っていたので、ポロシャツを買ってみた。

ついでに伊東屋で偶然目に入った素敵なカードに日頃の感謝を認めた。

読みやすいように大きめの文字で。

 

最近、私は元気がないのだと思う。

友人との約束をドタキャンしてしまったり、会社の人からの誘いを避けたり。

いつもケラケラしていたから、会社の人にガン見されたりもする。

 

部屋は散らかっているし、ゴミの日が分からなくなってきた。

それでも仕事は続けたい。

最低限以上の生活をしたいし、奨学金も返さなければならない。

 

趣味は読書、音楽、映画などの鑑賞に食事やお菓子を作ること、だっだ。

最近は専らコンビニ。

直近で作ったのは1ヶ月くらい前。

父が送ってくれた野菜を消費するための料理だった。

ご飯も3ヶ月は炊いていない。

元々白米があまり好きでは無いこともあるが。

 

実家でひとりの父は、仕事を減らし、田んぼをしたりしているようだ。

帰ってみると、ちゃんとカレンダーが捲られていて、洗いたてのタオルが各所に置いてあった。

対して私は、仕事に行くためにシャワーをして洗濯をしているが、最近はアイロンをかけることができなくてTシャツばかり着ている。

父は意外にもしっかりしているし、私は意外にもへこたれている。

 

最低限の人と話して、最低限の仕事をしている。

食事はろくなものを食べていないし、グミとハイチュウばっかりで肌荒れも酷い。

仕事の影響で手も荒れている。

靴下は左右違っていたり、毎日何かしらの忘れ物をしたり。

とうとう予定を立てることも簡単では無くなった。

何曜日に生きているのかもよくわかっていないし、偶にどこにいるかわからなくもなる。

 

夢現〉2023/08

お祭りを見て、人は凄いなぁと思った。

活発で、意欲的で。

数ヶ月前まで、周りの人が変わっていくのを疎ましく思い、自分はなるべくゆっくりと最低限の変化をしようと思っていた。

なのに、今ではすっかり変わってしまった。

何故かははっきり自覚している。

 

私は哀しんでいるのだろうか?

自分の感情に向き合うことで、私が崩れていくことが直感的に理解できていて、私は思考を止めてしまっている。

思考の渦がぐるぐると前頭葉付近を回遊しているとき、私は決まって思考を強く引っ張って目の前の無に引き戻す。

少し前までは、私の思考こそが私のアイデンティティだったのに、今ではこんなにも危うい。

 

私には底上げする必要があるそうだ。

色んな波に揉まれ、変わり、追いつけていないのだろう。

 

初めての一人暮らしの時、あまりにも寂しくて泣いていたのに、今では実家への帰省が億劫だ。

都会に出てきて良かった。都会は情報が多くて、思考を止めやすい。

 

こういった現象の原因はわかっているが、私ではどうしようもない。

こういった時、人はどうするのだろう?

時を待つ?

騒ぐ?

とことん悲しみの沼に嵌る?

 

私はどれもしっくり来ない。

生活が馴染まない。

三度の飯より〇〇(ほにゃらら)

 正直、私は食欲の波の谷にいない限り毎日三食食べたいし、月一の回らないお鮨も甘いチョコレートも、友人とつつく鍋もカフェの煌びやかなデザートも欠かせないし、夜に飲むココアの安心感と、珈琲の目覚めに紅茶の一歩進んだ日常に、羊羹と玉露の濃い味わいも欲しい。そういえば、母は必ずお菓子をお皿に出してくれるのにポテチだけは袋から直接食べてたな。

こうやって私には好きなものや事がたくさんある。土曜日に美術館と本屋を巡り、ふらりと展示会に入ってみたり、日曜日の生活を正すために作り置きや掃除に励むことも、途中で読書に逸れてしまうこともとても大切。

友人とたくさん語っては帰りたくないと尾を引きながら帰る帰り道も、花屋の前を通るのも。帰り道に月が見えると尚更至福。美術館で好きだと思った絵が同じ作者だった時や、本屋であの子が好きそうだなと思い浮かべる時。お菓子を焼いている間に洗い物を片付けて焼けていく香りを感じること。焼きたての摘み食いに、粗熱が冷めぬうちに紅茶を煎れて食べること。

 

春を待つこと。

春を待ち遠しく思うこと。

春を先取りすること。

 

チューリップを生ける花瓶を買わなければ。

春を盗んできたのだから。